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湾岸WIT第7号 2003/03/18 12 春、である。卒業のシーズンだ。 早いもんで、息子は中学卒業である。 親が「高望み?」とも思った凸凹高校にも無事合格り、 安心して睡眠とゲームにありついてるところだ。 この新聞で伝えない間に、江東区や東京都の保育・子 育て環境はだいぶ変わった。変わったというより「変わ
ってしまった」というのが大きいのだが。
他の福祉や雇用や景気を見ても、この数年の間に大方 がよりショボイ方へと変わっているから「いずこも同じ」
と大体想像はつくところと思う。
しかし、何から話そうか…… そう言ってしまいたくなるほど、いろいろあって。 だがしかしまあ、どの時代にも変わりないのは、 この時期は年度末なので、さまざまな改善や改悪をめぐ
る攻防も、来年度分については一応の決着がついた、
そんな頃だということだ。
今年もまた、いろいろな動き・闘いがあった。 行政側や議会や現場で働く職員にとっては、まさに ひととおりの決着・結論が出たあとの時期となるので、
今はもう、ホッとしたり悔やんだり反省したり評価した
りもしたいところだがそれどころではなく年度末のバタ
バタに追われてきている頃だろう(もっとも、人を減ら
しまくってる昨今、どこかに貼り付けるにはどこかから
剥がすことになるから、そのあたりの攻防の細かいとこ
ろでとても回らない・決着がついてないところは「どー
するんだ
」になってるのだろうが。    保護者にしてみればもっと両極端で、悪い方の端は、
本当に救われない。こんなんで年度を越せるのかである。  
 その一番最悪な「保育園に入れない」「預ける場所が
ない」
  「明日からどう生きていくんじゃ!」という状況が、
江東区内に広がっている。
 ここ数年の間に江東区は集合住宅が急増した。
 保育園不足は深刻で、今や江東区は南部地域を筆頭に、
全国有数の「保育園に入りづらい地域」となっている。
 学童クラブも、定員を大きく超えた状態での受け入れ
が当たり前のように続いている。
小学校も地域によっては児童数が激増して、 教室が満杯という状況だ。 区はこうした状況の中で、          マンション規制を行うに至った。
これに対しては、賛否両論があると思う。
私たち子どもたちを守る立場としては、
子どもが安心してのびのびと育っていけるためには、
地域の環境が悪化するのは困る。 街づくりを無視した乱開発に対しては、 毅然とした態度で止めるべきだ。  だが、新しい住民はもっと歓迎されるべきだ。
 新しい街づくりも積極的に考えるべきだ。
 たくさんの子どもたちが新しく江東区民として加わ
ることは、とても喜ばしいことだ。
 それなのに、人口が急増した地域を中心に、
 たくさんの子どもたちが、保育園に入れなかったり、
学校や学童でも窮屈な思いをしている。
保育園や学童クラブ、学校の整備拡充は、 本来区が責任を持って行わなければならないことだ。 「業者まかせ」「業者のせい」で、 子どもが犠牲になるのは困る。 「建てるなら作って」ではなく、
「作るから提供して」が筋というものだ。
 一方で、マンション業者に対しては、
一様に敵視ではなく、業者が区民と共に、行政と共に、
手をつないで街づくり・地域づくりを考え、責任を果た
していく方向に、区は導いていくべきだろう。
*江東区にはかつて、 体を張ってゴミの流入を止めてきた歴史がある。 現在の状況も、その時に匹敵するくらい、 差し迫ったものだ。 *地域の環境を悪化させないために 全力を尽くすことはもちろん大事だ。 大きな問題を前にした時には、立場を超えて 一致団結しなければならないことも理解できる。 でも、新住民はゴミではない。 新しい区民も古い区民も、同じ大切な区民なのだ。 新・江東の保育運動 (次のページへ)