3p
3 オムニバス、ではない!? うぃっとの芝居は細かいピースをつなぎ合わせ てつくられることが多い。ピースの長さはまちま ちで、一瞬で終わるものもあれば、短編ぐらいに なっちゃう場合もある。また、それぞれのピース がリンクしたり入れ子になってたり、構造的には なんだか絡まった糸みたいだったりもする。 (地方のバス路線のようだとも言う) まあ、観た人にとってその目の中でどんな像を 結び、記憶にどんな形で残るのか、ってことにな ると、さらにまた違ってくるのだろうけど、 しかし、 「うぃっとの芝居ってオムニバスなの?」 と問われると、うーーん……… 1)まず、一応「ちがう」と答えておく。 で、考える。 オムニバス、うーん、オムニバスか… オムニバスと言われると、 どうしてもオオオニバスが頭に浮かんでくるのだ。 いや、別に深い縁があるわけではないし、植物 にも全然詳しくないのになぜなんだ?? 小学校に上がるか上がらないかの頃、図鑑で見 た、小さい女の子を上に載せたオオオニバス。 何だか妙にその絵が浮かんできてしまう。 そうそう、未来の世界を描いた図鑑なんかもあ ったあった。やたら鮮やかな空の水色が印象に残 っているだけで、内容は全然覚えていないのがい たく残念だが、バブルはおろかオイルショック以 前のそれも子ども向けの本なわけだし、さぞかし おめでたい未来が描かれていたのだろう。 いろんな乗り物はあったような気がする。どう 考えても青い空とは両立し得ない、実際つくった ら地球が破産しちゃうくらいの開発が必要な、 あ、それは現実のほうか。 きっと、はっきり覚えてないのは、その後たく さん出回ったアニメや実写や映画や報道やらの映 像の方がもっと全然すごかったからなのだろう。 訪れてしまった僕らの近未来は しょぼかった そう、これはもっと大きくなってからの話だけ ど、「未来はこんなになる」っていうの、ある時期 までけっこうやってたよね。 さすがにバブル崩壊以降は、あんまり見かけな くなったけど。 「未来が描けなくなった」のと、 「描いてたのにそれなり近いところもある未来は 来たけれど、思ってたより全然しょぼかった」 っていうのがあるのかな?? 今になって振り返ると、 「こんなのできるわけな いじゃん」あるいは逆に「こんなこと今ではチョ ロすぎるくらいで、でも当時は難しいと思われて たんだね」ってことが(あれとかあれとか)あり ますね。 それと、「まさかこんな形で現実になって しまうとは…」ってことも。 「未来の世の中では、わざわざ食事を調理して 食べなくても、カプセルとかそういうちっちゃこ いものを食べるだけで栄養が補給できる…」 子どもの頃の自分は、そんなヨタ話ハナから相手 にせず、笑い飛ばしたものだ。 〜まさかこんなのねえよな、ふざけろだよ。そん なことができるようになったって、絶対に願い下 げだね。メシはちゃんと作って、器に盛って、見 た目も香りも触感も、食という営みを丸ごと楽し みながら喰わなきゃ人間じゃないぜ。生きるため の糧は、そうやって体に入れるものだ〜 と。 錠剤な日々… しかしふと我に返り、 2002年の現実を見ると、コーヒーメーカーの 隣に常備されたサプリメントの山……鉄、ビタミ ンC、サメの軟骨、キダチアロエ、なんかいろい ろ入ってる「ビューティーチャージ」とかいうや つ、そして気分爽快セントジョーンズワート…… うーん、名前を挙げただけで何にお悩みかバレ バレってやつだね。 や、別にメシの代わりにこういうもので生きて るわけじゃございませんよ(そりゃそうだ。これ だけで生きろと言われても無理だって)。 しかし、コンビニも外食も冷凍食品もできるだ け少なくと考え、サプリメントにも特段熱心でも ないわが家にして、こんなに……いや、プラスに 考えるから買ってるんだろうけど、それにしても、 訪れちゃったのね、近未来が。なんかしょぼい。